ヴァーチャルプロダクション
グリーンバックの前で演じて、風景はあとから足す。長いあいだ、それが当たり前でした。二〇一九年の『マンダロリアン』は、それをやめました。高さ二十フィート、二百七十度の半円に並んだLEDの壁と天井。直径七十五フィートの舞台。壁には風景が実時間で映り、カメラが動くと、その動きに合わせて壁の中の視点まで動きます。つまり、遠くのものは遠くに、近くのものは近くに、正しくずれる。俳優は本当にそこを見て演じ、その場で光が肌に落ちます。シーズン1は半分以上がこの中で撮られました。ILMはこの仕組みをステージクラフトと呼び、現場ではただ「ザ・ヴォリューム」と呼ばれています。
この地図の掟どおりに言えば、これも最初ではありません。ILM自身が、十年以上の積み重ねの先にこれがあると言っています。監督のジョン・ファヴローは、その前の『ライオン・キング』でVRの機材を使い倒していました。そしてもっと前に、背景を幕に映しながら俳優を撮る技は、スタジオシステムの時代からありました。走る車の窓の外に流れる風景は、たいてい後ろの幕でした。違うのは、幕が動いたことです。カメラの位置を知っていて、それに合わせて世界のほうがずれる。百年ぶんの技術が、そこだけ変わりました。
この地図はいちばん上で二つに分かれています。記録と、魔法。ヴァーチャルプロダクションは、まちがいなく魔法の側の子どもです。メリエスがガラス張りのスタジオに描いた書き割りが、いま自分で動いています。