インティマシー・コーディネーター
この地図は、撮影所のしくみの話を一九四八年で語り終えています。スタジオシステムが崩れたところで、仕組みの話は止まっていました。その続きが、七十年後に来ました。
二〇一八年、HBOのドラマ『ザ・デュース』の撮影現場で、出演していたエミリー・ミードが求めます。性的な場面を撮るとき、そばで段取りを見てくれる人を置いてほしい、と。HBOはアリシア・ロディスを迎え、やがて自社の全作品で、親密な場面のあるものにはこの役割の人を置く方針を採りました。インティマシー・コーディネーターという職能が、業界の側の制度になった瞬間です。
ここでも、最初とされるものには前がいます。ロディスは二〇一六年に、同じ考えを持つ人たちと非営利の団体を立ち上げていました。枠組みは先にあって、二〇一八年に大きな会社がそれを採ったのです。
この節をこの帯に置いたのは、これが技術の話ではないからです。振付家であり、俳優の側に立つ人でもある。台本を読み、監督と俳優に相談し、体の動きの段取りをつける。作家の旗のもとで何が起きていたのかを、はじめて外から見える形にした人たちです。そして始まりが、制度でも運動でもなく、現場にいた俳優ひとりの言葉だったことを、この地図は書いておきたいと思いました。