配信の時代
2007年に配信が始まり、2013年には配信する側が自分で作りはじめました。ここで起きたことのなかで、この地図がいちばん面白いと思ったのは、映画祭の反応が正反対に割れたことです。2017年、配信でつくられた作品がカンヌのコンペに入り、フランスの劇場業界が強く反発しました。翌2018年から、カンヌは「コンペに出すならフランスで劇場公開すること」という条件をつけます。背景には、劇場で公開してから配信で観られるようになるまで、長い空白を置くよう求めるフランスの制度がありました。同じころ、ヴェネチアは配信作品を迎え入れています。イタリアには同じ種類の規制がなかったからです。好き嫌いの違いではなく、国ごとの制度の違いが、映画祭の顔を分けました。この地図の別の帯で、三つの映画祭が政治から生まれた話を書きました。八十年たっても、映画祭は制度の上に立っています。