現代の作家たち
この節は、この地図でいちばん線が集まる場所です。理由は単純で、ここにいる人たちは自分が何から来たかをよく喋るからです。ビデオ屋で世界中の映画を浴びて育った最初の世代でもあります。タランティーノは鈴木清順について、全体に触発されたのではなく、特定のショットや、とにかく実験してみるその姿勢に触発された、と言っています。ノーランはキューブリックの『2001年宇宙の旅』について、無駄なショットが一つもなく、余分な台詞も余分な言葉も一つもない、と語りました。ドゥニ・ヴィルヌーヴは子どものころ寝る時間を過ぎて観た『2001年』の猿の場面を、いまでも鳥肌が立つと言っています。クロエ・ジャオはテレンス・マリックを師の一人に挙げ、自然を通して人間を語るという姿勢がカメラの置き方まで決めていると説明しました。ウェス・アンダーソンはサタジット・レイについて、彼の映画は自分にとって小説のように感じられると語り、グレタ・ガーウィグは『バービー』の美術をジャック・タチの世界に近いと言いました。庵野秀明は、実相寺昭雄の作品を子どものころに観ていなかったら『シン・ゴジラ』はなかった、と言い切っています。この節から出ている線は、そういう本人の言葉でできています。だからいちばん濃く、いちばん太い。