劇場アニメーション
この地図は実写を中心に描いていますが、日本の映画の話をするときに、この帯を空けたままにはできません。一九八八年の『AKIRA』が海を渡り、一九九七年に今敏の『パーフェクトブルー』が出ます。そして二〇〇二年、『千と千尋の神隠し』がベルリンで金熊賞を獲りました。アニメーションが世界の三大映画祭で最高賞を獲ったのは、これが初めてです。翌年にはアカデミー賞も受け、日本映画として初めての受賞になりました。興行の記録も書き換えられました。『千と千尋』の三百十六億円あまりを、二〇二〇年に『鬼滅の刃 無限列車編』が三百二十四億円で抜いています。ここに、この節の芯にしたい話があります。ダーレン・アロノフスキーは『レクイエム・フォー・ドリーム』を撮るとき、今敏に手紙を送って、『パーフェクトブルー』のカットを使わせてほしいと伝えました。公開後、今敏は自分のブログにこう書いています。敬意を払われている側のほうが知名度も予算も低いというのは惨めな話だ、と。二人は二〇〇一年に対面しています。影響を受けたと言う側と、受けたと言われた側の、両方の言葉が残っている。この地図で扱ってきた影響の話の中で、これはとても珍しいことです。