エレヴェイテッド・ホラー
2014年ごろから、ホラーが作家の名前で語られるようになりました。『ババドック』『ウィッチ』『ゲット・アウト』『ヘレディタリー』『ミッドサマー』。怖がらせ方が変わったというより、何のために怖がらせるかが変わりました。喪失、人種、家族、共同体。ジョーダン・ピールは『ゲット・アウト』について、『ローズマリーの赤ちゃん』がジェンダーで語ったことを人種で語ったのだ、と本人が説明しています。四百五十万ドルで作られて、二億五千万ドル以上を稼ぎ、脚本賞を獲りました。ここで正直に書いておきたいことがあります。「エレヴェイテッド・ホラー(格上げされたホラー)」という呼び名を、作り手の多くは嫌っています。格上げされた、という言い方は、ほかのホラーが下にあると言っているのと同じだからです。この地図はほかの場所でも、名前は外から後から来る、という話を何度も書いてきました。これはその何度目かで、そして珍しく、名づけられた側が声を上げている例です。だからこの節の名前も、借りものだと分かったうえで置いています。