シネマティック・ユニバース
2008年の『アイアンマン』の、本編が終わったあとの短い場面から始まります。ニック・フューリーが現れて、もっと大きな話があると告げる。あの場面が発明でした。ただ、始まり方は思っているのと違います。ケビン・ファイギ本人が振り返っています。サミュエル・L・ジャクソンが明日、厚意で立ち寄ってくれる。出てもらって、その場で考えよう。壮大な設計図の実行ではなく、行き当たりだったわけです。ファイギが語る構造の元はコミックでした。十冊、十二冊、十五冊と各自の本が続いて、そこにクロスオーバーの事件が起きる。終わったらまた自分の本に戻る。この読み方の型を、映画の公開順に置き換えた。二〇二四年までに四十五本、世界の興行収入は三百億ドルを超えました。ただし一位は一瞬でした。二〇一九年に『アベンジャーズ/エンドゲーム』が『アバター』を抜いて歴代一位になり、その後『アバター』が奪い返して、いまは二位です。反対の声も一枚岩ではありません。スコセッシは二〇一九年十月の雑誌の取材で「テーマパークだ」と言い、十一月に新聞に自分で寄稿して言い直しました。コッポラはリヨンでもっと強い言葉を使い、のちに釈明しています。そして追随した側は、あまりうまくいきませんでした。ユニバーサルが古典的な怪物たちで同じことをやろうとした企画は第一作で止まり、会長のドナ・ラングリーが、世界は共有宇宙を求めていなかった、と総括しています。